Luminous Mind-後日話

01

境界を崩壊させてから、気が付けば早一週間が過ぎていたらしい。どうやって境界から脱出できたのかは判然としない。だが包帯や絆創膏で覆われた身体を満遍なく苛む痛みこそがゼクティスが境界より帰還したと言う何よりの証であった。寝台の上でろくに記憶の無…

02

「やっぱ酷ぇな……」夜の蝕国より解放されたとは言え、魔物の襲来によって荒らされた聖都の様相はすっかり変わり果てていた。崩れた瓦礫からの砂塵が風に舞い上がり、吹き流される。加えて大量の魔物の遺骸からの物であろうか。境界で見た程ではないが埃の中…

03

「………やはり駄目だ。深く潜られたか、もう僅かの気配も感じない。」レイシェントは首を横に振りながら深々と溜め息を吐き出した。ネイエリエが姿を消した後、クラレンスはまたもいつの間にやら姿を眩ませていた。残ったゼクティスはレイシェントと共に彼女…

04

執政府へ向かうゼクティスを見送り、その後もレイシェントは夜が明けるまでひたすらに魔物の対応に当たっていた。疲労は相応に溜まっている筈なのだが、夜の間は身体の重さなど全く感じない。幾ら大鎌を振るえど、苦ではない。まるで子供の頃に戻った様な軽さ…

05

ほぼ植物状態となっていたレヴィアの意識が初めて戻ったのはゼクティスが聖都から離れて一ヶ月後の事だった。薄く目を開けると、網膜に光が差し込んで来る。長らく光を受け入れていなかった眼には強すぎる光に耐え兼ね、また瞼を閉じる。致命傷とも言えるあの…

06

レヴィアの意識が安定してから一週間待たず、エリザベートはアルザラ出立への準備を整えていた。本心としてはもう数日早く発とうと考えていたのだが、丁度同じタイミングでノクサス達も第壱都市への帰還準備を進めているとの事でそれに便乗すると言う話になっ…