後日話-if-

!)始めに

此方に置いてある小説、或いは小話は本編終了後、弊創作キャラクター達がアプリゲーム『流転のグリマルシェ』へ流れ着いたifルート設定での話となります。特に置き場所の無いテキストやソロール置き場の様なものであり、前後のキャラクターの交流ややり取り…

大図書館にて

2020.JUNcast:レヴィア、エリザベート「さて、技術書は……この辺りか?」そう呟くのは濃紺の軍服を纏った金髪の女。落ち着きなく後ろ髪へ指を差し込みながら、整然と並んだ本を順に眺めてタイトルを目で追ってゆく。適当にめぼしいタイトルの本…

辰砂杖の月 28日

2020.JUNcast:カルミラゆら、ゆら、と身体が揺られ、何処か遠くから波の音が聞こえた。意識は黒く塗り潰れ、漆黒の海の中を宛もなく彷徨う。還るべき此岸を弾かれたそれは『漂流物』、只の残骸であった。漂流物はいつの間にか、或る行く先の船に…

兄の幻影

2020.OCTcast:ゼクティス、レヴィア森に仕掛けた罠や野営の片付けを終えて荷物をバックパックに詰めている。だいぶ中身が軽くなったとはいえ、背に負うと重心を捉える迄に少々ふらついてしまう量だ。南瓜を被せて回る時期も終わり、すっかり冬の…

再会

2020.DECcast:レヴィア、カルミラ宿に着く頃にはすっかり夜は更けていた。普段は多くの冒険者達で賑わうであろう食堂も、この時間では人は疎らだ。取り付けた約束では、確か一階で待つと言っていた。ぎこちなく、ほんの短い連絡事項の様なやり取…

誰かの日誌

2021.JUL~cast:ユーリックN.E 1856 JUL突風に揉まれるように過ぎ去った一ヶ月の滞在期間。思いがけずに付き合わされた灯台造りの手伝いと本国から持ち込んだ仕事を並行してこなす羽目になり、渡航前は『ほぼ休暇の様なものだ』と思…

兄の変化

2021.MARcast:レヴィア、カルミラすっかり使い慣れたテラス席にて、不似合いな眼帯姿の青年がノートに向かいペンを走らせている。ノートの横には通信器となる結晶体。ノートの上半分はふくよかなキャラメル色の猫がのびのびと占領している。「─…

迷子の曹長

2021.OCTcast:猫の曹長、カルミラ方々忙しなく走り回る餌係に追い付けなくなったか、ほんのりと甘やかな香りを漂わせる人の流れに誘われたか。ナポレオンハットを被った猫が木箱の上、南瓜ランタンを押し退けてぽつねんと座り込んでいる。「ナン…

宵の帰路

2022.APRcast:ユーリック、レイシェント、カルミラ宵闇に包まれる商店街の中。黒軍服を翻して歩く男の手には、持参した時よりも嵩の増した紙束。ゆったりとした此方の足取りを追う様に、街路灯の光が着いてきてくれるお陰で文字を読むのに差し支…

幻桜の夢

2022.APRcast:レイシェント、イレイン「怪現象と聞いて来てみたが…私が追っている類いの物ではなさそうか……」夜霧が帯となって木々の姿を烟らせる森の中、調査状を手にした赤毛の男の姿が在った。正体不明、モンスターではなく別の何か、怪奇…

火葬谷

2022.APRcast:エリザベート、レイシェント、ネヴァギルドの会議室、部屋の片隅の席にて赤毛の男が黙々と紙上にペンを走らせている。時折手が止まったかと思えば、また動き出す。記す報告の文面はごく淡々と、誇張も欺瞞も無く質実に、客観に徹し…

邂流の丘

2022.APRcast:カルミラ、リオ、ゼクティス「少し慎重に来過ぎたか。思いのほか山越えに時間をかけてしまったな」登山用の装備を詰めたバックパックを背に、水色髪の青年は漸く山道を抜けたと見て汗を拭う。陽は既に地平へと沈みかけ、数多の灯が…